院長ブログ

2013年10月 2日 水曜日

子宮蓄膿症と早期避妊のおすすめ


 これは何でしょう?

 答えは子宮です。ただし、正常な子宮ではなく、蓄膿症を起こし大きく膨れ上がった異常な子宮です。本来の大きさはこの何分の1以下の太さしかありません。これを切ると中から血膿がドロドロと流れ出てきます。もっとひどい状態のこともあり、中には破裂して膿をお腹の中に垂れ流し激しい腹膜炎を起こしている場合もあります。
 子宮蓄膿症とは中高齢の未避妊のワンちゃんに(時にネコも)起こる、子宮の感染性の病気です。大変怖い病気で発見が遅れ、病気が進行した場合には、亡くなることもしばしばです。治療は原則的には外科的に感染した卵巣、子宮を切除します。いわゆる避妊手術ですね。この病気は避妊手術をしておけば予防できる代表的な病気です。
  
 
 

 ここで考えていただきたいことは、若く元気なうちに不妊手術を行うのと、老齢になり、体力がない状態で、さらに感染により体調が悪い時に手術を行うことのどちらがワンちゃんのためには良いことなのかということです。無理にお勧めするつもりはないのですが・・・、蓄膿症になった飼い主様は皆同様に、早く避妊手術をしておけば良かったとおっしゃいます。正常な卵巣・子宮をとることは自然じゃない、可哀そうというお気持ちもわかりますが、飼い主様にはよくよくお考えいただく機会となれば幸いです。

 不妊手術をお勧めすると、飼い主様から「ネットで調べたら、データ上はほとんど出ないって聞いたけど、やらなきゃいけないの?」などのご質問を頂いたことがありますが、これは多分日本の統計データではないと思われます。アメリカやヨーロッパなどの国々では日本よりもずっと避妊をしている割合が高く、それらの国の統計データは現在の日本とは状況が異なっていますので、鵜呑みにしないことが大切です。日本は先進国の中では大変不妊率が低く、同じ理由で、他の先進国のデータに比べ乳腺腫瘍の発生率も高いことが知られています。

まとめ
早期不妊手術の利点・欠点
利点:
 若くて元気な個体ならば麻酔リスクも低く、回復も早い
 子宮、卵巣疾患、乳腺疾患などのリスクを大幅に下げられる可能性が高い
 費用も安くて済む(病気になった時に比べると数分の一になることが多い)
 生理中の精神的なイライラや、出血、食欲不振などの症状が無くなる
 誤交配のリスクが無くなる
 病気になる時には多くは高齢になっている上に、体調も極めて悪く麻酔リスクが高くなり、また、特に乳腺腫瘍の場合には大変大きな範囲を切除することとなり、麻酔時間が長くなり、手術によるダメージも大きくなります。
 その他

欠点
 麻酔リスク 若く元気な個体であれば極めて麻酔リスクは低いと考えられますが、人でも十万人単位で麻酔でなくなっている方がいます。動物も同様です。リスクは低いですが、ゼロではないことをご理解ください。
 合併症の可能性:発症率、リスクは稀ですが以下のような合併症が知られています
  ホルモン失調による、尿漏れ、薄毛などが出る可能性がある
  あるデータでは、不妊手術を行ったワンちゃんにある種の腫瘍のリスクが高くなったとの報告がある
  縫合糸?により炎症性のしこりをつくる可能性がある
 費用がかかる
 その他
 *欠点としてあげたものも、しっかりと術前検査を行い、麻酔中の管理をしっかり行うことで麻酔リスクはかなり下げてあげられるでしょうし、合併症も稀です。確かに未避妊の動物が皆これらの病気になるわけではありません。しかし大病を患って大事になることを考えれば少なくとも現状では早期不妊がオススメです。
 まだ不妊をしていない方、これからワンちゃん、ネコちゃんを飼う予定の方はい今一度良くお考えください。
 上記したことは、あくまで私の考え方です。当院の患者様以外でこのブログを見た方は、ホームドクターと良くお話をして決断をお願いいたします。

投稿者 たかはし動物病院 | コメント(0)

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